小林慶太郎工舎とは|小林慶太郎工舎

葺師 小林慶太郎

小林舎長のご挨拶

小林慶太郎 写真

プロフィール

京都で瓦技術の修行を長年積み、後世に瓦施工技術を後世に受け継ぐため、日本瓦葺技術継承甍会の会員となり、高度で、上質な瓦技術を学ぶ。

また伝統建築屋根施工集団「葺師團」を立ち上げ、瓦技術の後進の指導や仲間との連携に従事する。

瓦の技術を熟知し、「100年保証建造物」を目指し、技術に日々取り組む

古来より社寺建築における屋根瓦工事は非常に難解かつ高度な技術を要すると言われてきました。そして私自身も、瓦葺き職人として経験を積む中で、身を持ってまさにそのとおりだと感じております。

しかしながら建設コストを真っ先に重んじる昨今の風潮の中で、このままでは社寺建築の瓦工事から美観性や意匠性、耐久性、ひいては瓦工事に取り組む我々瓦職人たちの姿勢や心構えさえも無くなってしまうのではないかと危惧しております。

社寺建築は住宅建築と違い多様な曲線の集合により屋根が形成されています。それはその建物の時代背景や仏教宗派、専門の設計士さんや宮大工さんの考えと計算の元に造られます。そこから屋根瓦の仕上がりを想定し、建物意匠に見合った仕上がりにしなければなりません。つまり、見よう見まねや住宅の延長では本物の社寺瓦工事はできないのです。

私は京都における修行時代に社寺の瓦工事に携わらせていただき、いつかはこのような素晴らしい建築物の瓦工事を生業にしたいとの思いを強く持ちました。そのためには、専門の知識や技能・技術など身につけなければならないことが山ほどあり、今現在もつねに勉強を欠かさぬように心がけ、技能・技術の研鑽に取り組み続けております。

私の師はこう言っています。

職人とは「身につけた技能・技術によって物を作り出すことを職業としている人」と辞書にある。そのとおりだと思うが何か足りないような気がする。「職人と作家、商品と作品、民芸と工芸」の違いは何なのだろう。「職人がつくれば商品で、作家がつくれば作品」となる。では、瓦葺師が施工した屋根は作品といわれないのであろうか。

屋根の隅々まで納まりを推測し、持てる技を駆使して屋根を葺き上げる。住む人のことを考え、心をこめて葺き上げられた屋根は、その瓦葺師の作品であると確信する。何か足らないと思われたものは、見る人に与える感動かもしれない。

年間に施工する仕事の8割は食べるための仕事で、残りの2割は作品といわれる仕事にしたいものである。結論、職人とはその人の生き方を仕事上に表現できる人ではなかろうか・・・と。

師の言葉を、私は自分の仕事を通して具現化し、後世に伝えていきたい!

そのために常に謙虚な心を忘れず、真摯な姿勢で瓦葺きに取り組みます。

また、完成したお堂の屋根を見ていただいたすべての方たちに感動を与え、自然と手を合わせたくなるような瓦屋根が施工できるように日々の努力は欠かしません。

そして、手がけさせていただいたすべての仕事が「作品」といわれるような瓦葺師であるために、瓦1枚1枚に心を込めて生き方を屋根上に表現していきたい。

そのように思っております。

舎長 小林慶太郎